いずみたつや

ロープ/戦場の生命線のいずみたつやのレビュー・感想・評価

ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)
-
ロープを探すだけの"超地味"な話ですが、いわゆるドンパチがある類の戦争映画とはまた違った新鮮味とスリルに満ちた秀作でした。

NGOの日常的な活動や、国連との微妙な関係性などを、説教臭さやお勉強的な堅苦しさを感じさせずに見せるのがスゴイです。

本当に観るまで信じられないと思いますが、高尚な作品という意味で良い映画というよりも、純粋にハラハラドキドキして面白かったという印象の方が強い作品です。

脚本に無駄がなく、ユーモアや皮肉の織り込み方も絶妙。役者陣の演技は言うまでもなく最高で、それぞれのキャラ造型も見事で魅力的です。

オープニングとラストが円環構造的に繋がり、原題「A PERFECT DAY」の文字が出た瞬間には痺れました。

ただ1つだけ、本当1つだけ、音楽の使い方だけが気になりました。

あるショッキングな場面でマリリン・マンソンの「Sweet Dreams」が流れるんですが、あのやり過ぎ感は完全に映画のトーンに合っていなかったように思います。あそこは逆に抑えた選曲(もしくは音楽なし)の方が、より深みが出たと思うんですよね。

そこに限らず、全体的に選曲がちょっと違うような…と感じる箇所がいくつかあったのが残念です。勿体無い!