つばさる

ロープ/戦場の生命線のつばさるのレビュー・感想・評価

ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)
4.4
1995年、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争停戦直後。バルカン半島のある村の1日をコメディドラマとして描く(正確には一晩越すから2日?)

「面白い!」って表現は不謹慎かな?と躊躇してしまうような、戦争を背景とした深いテーマを持つ映画なんだけど、これがほんと面白いんですよね。
「ほのぼの」ともちょっと違う、緊張感ある中での彼らの日常と心情を描いてる。

【あらすじ】
マンブルゥ(ベネチオ・デル・トロ)、ビー(ティム・ロビンス)のベテラン2人を中心としたNGO「国境なき水と衛生管理団」の4人は井戸の中に沈む死体を引き上げようとしたが、ロープが古く途中で切れてしまった。
1日も早く死体を引き上げ井戸を洗浄しなければ、その井戸の水で生活している地元民にとっては死活問題。
使えるロープを探す為、武装組織が徘徊し、地雷の埋まる広大な危険地帯を進むうち、地元民の少年ニコラと出会った。
マンブルゥ達は彼の実家へ向かい、衝撃の事実に直面する。

【感想】
・ストーリー ★★★★★
彼らにとっては日常なんだけど、平和な国に暮らす人間にとっては、異常事態だらけの非日常。
ベテランのマンブルゥとビーは普段通りと言った感じでそれらを躱していく。
牛の周りに仕込まれた地雷のエピソード。恐ろしいんだけど、彼らの対応に笑っちゃう。

・キャラクター★★★★★
アメリカ人、フランス人、ユーゴスラビア人、ウクライナ人、プエルトリコ人という国際色豊かで愉快な最高のチーム!
マンブルゥは人情味溢れ頼れるリーダーで、演じるベネチオ・デル・トロの色気が滲み出てる。
どんなに緊張する状況でもジョークを飛ばす、ちょっとクレイジーなビーにいつも笑わされる。ティム・ロビンスの怪演がすごい。
この2人は初共演らしいけど、もう10年以上一緒に仕事してるんじゃないかってくらい息のあったバディ感だった。

・オシャレ度 ★★★☆☆
撮影地のスペインを当時の現地っぽく見せるのは難しかっただろうな。としみじみ。
あと陽気な音楽にやられる。

・エンタメ度 ★★★★☆
背景にあるのは戦争なのに、とにかく笑わせてくるからあまり暗くならず見やすい。
でも常に危険と隣り合わせという緊張感はしっかりある。
ぶっ飛んだ行動に出たり、ジョークを飛ばすし、熱くなったり、喧嘩したり。人間だもの(笑)
ラストには呆気に取られた。それもあるよね!と。

・メッセージ性★★★★★
戦争が及ぼす影響。余波。その後。
国連とか管轄とかって…ややこしいんだね。

ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエヴォ映画祭で主演のベネチオ・デル・トロが生涯功労賞を受賞。

この映画を鑑賞後、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争やユーゴスラビア紛争、第一次世界大戦のきっかけとなったサラエヴォ事件についてWikiりました。
映画は歴史にも興味を持たせてくれる。
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