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ロープ/戦場の生命線のsonozyのレビュー・感想・評価

ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)
4.3
2015年 スペイン映画 英題: A Perfect Day
フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督
ゴヤ賞・最優秀脚色賞

1995年、停戦直後のバルカン半島。
「国境なき水と衛生管理団」のメンバー4名。
強く優しいマンブルゥ(ベニチオ・デル・トロ)、ヤンチャなビー(ティム・ロビンス)、正義感溢れるソフィー(メラニー・ティエリー)、通訳のダミール(フェジャ・ストゥカン)。

住民の生活水を供給するための井戸に落ちている巨漢な男の遺体を引き上げようとするが、損傷の激しいロープが途中で切れてしまう。

衛生管理上、一刻も早く新しいロープが必要だが、停戦直後と言ってもまだ現場は危険な状態が続いていて、道の真ん中に牛の遺体が置かれ、それを避ける道の左右いずれかに地雷が埋められている可能性で身動きが取れなくなったり、兵士の検問で行く手を阻まれたり、遺体を引き上げる必要はないからロープは売らないと拒む店主などで、なかなかロープが入手出来ない・・

紛争審査分析官として加わる、マンブルゥの元カノ、カティヤ(オルガ・キュリレンコ)の美しさにやられ、不良たちにボールを奪われている少年ニコラとマンブルドゥの交流が沁みる。

ベニチオ・デル・トロとティム・ロビンスが最高。
戦火の後の悲惨な人々の生活の改善のため、まだまだ危険な現場で、不条理な妨害や圧力に諦めながらも、現状の中で自分たちが出来る任務に淡々とあたっていく、これぞ強く優しき男たち。

タイトルの「A Perfect Day」は、物語の後半、基地に戻る途中、チームに新たな任務(汚〜い仕事。笑;)が入った際、ソフィーが「やれやれ、今日は最高の日ね」と皮肉たっぷりに言う一言。

大雨の中、有名な反戦歌「花は何処に行ったの(Where have all the flowers gone?)」のマリ―ネ・デートリッヒver.が流れるラストシーンも素晴らしい。
いつになればみんな分かるのだろう♪
いつになればみんな分かるのだろう♪ の反復が心に沁みる、想像以上の名作でした。
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