いののん

ロープ/戦場の生命線のいののんのレビュー・感想・評価

ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)
4.5
ジャケ写みて、これはひょっとしたら「ノー・マンズ・ランド」か? と思った自分の直感力を褒めたいと思う。あながち間違ってはいなかった。なにせ私は、頭は弱いが、直感力には(少々の)自信がある。えっへん、なのだ。以前、「ノー・マンズ・ランド」を観た時、とても衝撃を受けて(内容はほとんど忘れちゃったけど)、なんにもわかんないから、そこからボスニア紛争について学ぼうと思って、世界史もカタカナも大の苦手なのに、自分なりにお勉強をしたことがある。国境なき医師団でボスニアに行った方のテレビ放送のDVDや書籍を入手したり借りたりして、何度も繰り返して観たり読んだりした。そしてそこから私が学んだことは、知識として云々というよりも(知識は全く定着させることができなかった)、想像してみようということだった。わからないままでもいいから、わからないままにわからないことを大切にして、それでもわかりたいという気持ちを大事にしたいなって。(それができているのかと問われたら、全くできていないのだけれど。)


やさおとこの、デルトロ撃ち。銃はないけど、ロープがある。いや違う、ロープがない! ダダダダダ!はないけれど、地雷はあちこちにあるんだよ。地雷だだだだだあ! デル・トロさまが頼れるオトコなのは相も変わらず。地元のおばあちゃんも頼れるのさ。デル・トロとティム・ロビンス(いつの間にこんなに老けたんだ?)が会話しているだけで、なんかすげえ良いもん観たな、っていう気持ちになる。


デル・トロが若い女の子(同僚)に、「いいか後ろを絶対に振り返るな」と念を押すシーンが本当に本当に本当に凄くて、鳥肌というより犬肌というのか、衝撃というより絶望というのか、でもそのなかでの思いやりとはこういうことをいうのか、とか、とにかく一瞬にして私の心は凍りつき、泣くこともできず、でもデル・トロの優しさに、心は風に吹かれ、揺れたのだ。んなもん、うまく言えるわけねえ。


「できることは ない 進むのみ」
「今だけを見る」
NGO職員の、仕事人としての在り方を垣間見るだけでも、大変価値のある映画だと私は思う。
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