Aki

アンリ、アンリのAkiのレビュー・感想・評価

アンリ、アンリ(2014年製作の映画)
4.3
MUBIにて視聴。青緑を基底とした透明感のある色調とウェス・アンダーソンのようなキッチュな色彩が美しく、小道具の扱いが楽しい。(フィックスのショットと登場人物たちの横移動はまさにウェス・アンダーソンなのだけど、彼ほど徹底された様式は見当たらない)
アンリ・アンリという名の主人公が盲目の少女に恋をする。明らかにチャールズ・チャップリン『街の灯』が意識されている。主人公は電球を直すのが得意で、この電球のオンオフ及び修理には「復活」のモチーフが重なるのだけど、「(イエス・キリストの)復活」と「電球の交換」の二つのモチーフを接続した作品といえば、近年ではオリヴェイラの新作『アンジェリカの微笑み』がドンピシャで思い浮かぶ。ちなみに、父との再会に返却できなかったナイフがピタリと当て嵌まるのは三位一体のモチーフがそこで完成されるから。監督の長編第一作ということもあって脚本はやや単調で、内容はファンタジックでありながらもバートンのような禍々しさはなく、どちらかというとカウリスマキみたいなユルさ。(『ル・アーヴルの靴磨き』でも「復活」のモチーフがある)これはいいよ、名品。
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