かつや

熱風のかつやのレビュー・感想・評価

熱風(2015年製作の映画)
3.8
 映画の中盤までは、意味もなく悪さをするジョゼフ、善良な村民たちという風に描かれているが、ジョゼフの死を経て外部(警察)の目を通してみると、捉え方が一変する。ジョゼフの仕業とされた悪事には決定的な証拠はなく、善良そうに見えていた村民たちが、移民であるジョゼフに対する偏見を持っていたことが明らかとなる。村民だけではなく観客も、ジョゼフがすべての悪事の犯人だと考えてしまうだろう。実際に彼の犯罪が描写されているのはレイプ未遂のシーンだけであるにもかかわらず。
 また、鍵を握るのがトニー・ソプラノ似の職人と、その家族である。彼らは村に越してきたばかりで、村に馴染めていない。結果的に彼がジョゼフ殺しの犯人となり、村に平和が戻ることとなるのだが、ジョゼフを殺したのは彼だったのか、それとも、村民たちの差別の目だったのだろうか。職人の妻が事件後に村を出たのは夫が殺人犯だからなのだろうか、それとも村の異常さに気が付いたからなのだろうか。
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