はせ

バース・オブ・ネイションのはせのレビュー・感想・評価

バース・オブ・ネイション(2016年製作の映画)
4.0
1800年代初頭。バージニア州のターナー家の農場で奴隷として働くナット(ネイト・パーカー)は、幼い頃に聖書を通じて読み書きを教えられ、奴隷の勤労意欲増進のために説教をする商売に利用されるようになる。ナットは説教を続ける中で、他の農場の奴隷たちの、あまりにも悲惨な境遇を思い知らされる。理不尽な仕打ちに耐えきれなくなった彼は、自由を勝ち取るために立ち上がるが…

1831年にバージニア州サウサンプトン郡で反乱を起こした、黒人奴隷のナット・ターナーの人生を描いた伝記ドラマ。アメリカ人にとってタブーである黒人奴隷制度を扱った『ジャンゴ』『それでも夜は明ける』などに連なる作品。精神的にも肉体的にもエグいシーンが多い。ターナーの涙の説教シーンは無条件でアガる!

新鋭ネイト・パーカーが監督・脚本・製作・主演。彼は本作のタイトルはグリフィスの『國民の創生』から意図的に引用したと明言している。映画史に残る傑作でありながらも、KKKのプロパガンダだった『國民の創生』。このタイトルの引用は、アメリカにおける人種差別に対する明確な挑戦だというのだ。

しかしながらネイト・パーカーの過去のスキャンダル(真偽は定かではない)が発覚し、興行的には失敗し、アカデミー賞をはじめ各映画賞からは全く声がかからず、日本でもDVDダイレクトとなってしまった。非常に惜しい…映画史的には残念極まりない結果となった。
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