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シング・ストリート 未来へのうたのchichichiのレビュー・感想・評価

4.0
フォロワーさんの西郷どんさんからのお勧めで観ることにしたこの作品。

監督の自叙伝的なストーリーらしいけど、とっても素敵な音楽、青春、恋愛、兄弟愛を描いていました。

1980年代のアイルランドのダブリンは不況下におかれている。
主人公の親は失業し、酒や不倫に溺れ、とばっちりは子供達へ。
両親は毎晩のように大喧嘩、経済事情から転校することになった公立高校では、
厳しく理不尽な校則や直ぐに殴る同級生に悩みながらも、街で見かけた女の子に一目惚れしてしまう。
きっかけをつかむため、"僕のバンドのミュージックビデオに出演してほしい"と口から出まかせを言って、急遽バンドを作り始め、何とかメンバーを揃えてバンド活動が始まるのだが…

だいたい、男子なんてバンドを作るきっかけは女子にモテたいから(笑)
よくあるキッカケなんだけどね。

お坊ちゃんだったコナーが、ラフィーナに恋してバンドマンらしく変化していく様子がきっちりと少年目線で進んでいくので分かりやすく共感できました。

手当たり次第何にでも反発するという訳ではなく、恋の悩みを兄ブレンダンに告白したり、最初、いじめっ子だった子を用心棒みたいに仲間に入れたりと、素直で賢いロックンローラーへと成長した感じでした。

主人公を演じたコナー役のフェルディア君。演技初挑戦なのに、そして凄く青年らしくてホッペが赤くて瞳が素敵でキュンキュンしたわ〜。



 



以下ネタバレあります•*¨*•.¸¸♬







登場人物も一人一人丁寧に描かれていたと思います。
両親の不和や離婚が子供たちへもたらした影響などの子供目線の悲劇だけでなく、両親の心中が測れるようなシーンがいくつもありました。
夢を諦めた母が日課として夕陽に当っているシーンなんかとっても切なかった。
離婚が決まった後の父のあの憔悴しきった表情も…

だから、あの学園祭のPVでのバイク乗ってるお兄ちゃんとか、仲良く踊る両親とか、あれがコナーのほんとの願いだと思うのとても辛かった。

だけど、だけど…
ラストは希望があるものだった。

ラストシーンの2人でボートに乗りダブリンを抜け出して行く。
荒々しい海を越えてイギリスを目指すシーンは、過去から未来を作りだして行くエネルギーを感じました。

飛び出した後を心配するより、飛び出す事が大事なんだ。大波なんて、越えればいいだけのこと。
そんなメッセージをもらいました。


自分の思い通りにならなかったお兄さん…
自分の思い通りに進む弟コナー。
思わず殴ってしまた。
でも、お兄さん、コナーはいつも憧れてて、コナーの頼れるカッコいいお兄さん…
お兄さんの夢は、コナーに託されて…

ラストシーンの「やった!」って叫ぶシーンが大好き。
とっても素敵な兄弟の話でもあった。

最後テロップで流れる
「全ての兄弟に捧ぐ」
っていうところが心に沁みます。

悲しみの中にも幸せを見つけて、最後は羽ばたいていくファンタジーな青春ストーリー。
爽やかな気分になれる作品でした。
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