Shelby

シング・ストリート 未来へのうたのShelbyのレビュー・感想・評価

4.3
遅ればせながら話題になっていたシングストリートをやっと鑑賞。 超最高だった。
劇中歌が素晴らしすぎて全てダウンロードしてしまったほど。多分音楽をやっていた経験があるからかもしれないけれど、共感できる部分も山ほどあった。そして何より、甘酸っぱくて眩しい時を生きる彼等が、心の底から好きになった。

授業料を節約するため親の都合で模倣地帯の荒れた公立高校に転校させられるわ、両親は怒鳴り合っていて家にいても気が休まらないわでアンハッピーな毎日。そんな日々を慰めるようにギターをポロポロ弾きながら適当に歌詞をつけていくコナーの姿が見ていて切なかった。また、両親の怒鳴り声を掻き消すように大音量で音楽を流す兄弟達。扉の向こうで啀み合う両親たちの存在を忘れるかのように、音楽に身を任せるそんな時のための音楽ではないはずなのにね。音楽は彼らの中で救いの一つだったのかな。

コナーとラフィーナの甘酸っぱい恋の描写は見ていてムズムズした。
ラフィーナにキスするシーンなんてもう最高。食べてたクッキーが口の中にまだ残っているから、キスするのはちょっと待って…いい?うん、いいよ。とやり取りするところなんて可愛すぎる。超ニヤニヤ。

演奏をして拍手を貰う喜びやステージ上での快感は見ていて個人的に超共感。
ギグでライブが成功したシーンなんかは、特に懐かしくて胸が苦しくなる始末。当時はあまり分からなかったが、間違いなく毎日がキラキラしていた。この映画で、当時の懐かしさやら、ほろ苦い思い出なんかが鮮明に蘇る。音楽を通して得られる喜びは知ることができて良かったと今でも改めて思う。

希望ある未来への出発が見て取れたラスト。最高だった。青春っていいよね。もう2度と戻ってこないからこそ、価値のある宝物のような思い出達。確かに私にも存在したのだ。
歳をとったことを実感したのと同時にあの頃の甘酸っぱい記憶を掘り起こしてくれたこの映画は私にとって特別な1本になった。
Shelby

Shelby