koya

シング・ストリート 未来へのうたのkoyaのレビュー・感想・評価

5.0
予備知識なしで観始めたのですが、『Once ダブリンの街角で』『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督の新作ではないですか!

もう、かわいくて、かっこいい!
10代のバンドやろうぜ映画大好き。
しかも、時代は1985年。80’Sなんですね。私は80年代=20代だから、この時代を描いた映画にも弱いです。

大不況のアイルランド、ダブリンの15歳の少年、コナーは、両親は不仲で、兄と姉と3人兄弟で不安に過ごしている。
父は失業、母はわずかなパート。兄は大学を中退し、コナーもお金のかからない高校へ無理矢理、転校。

カソリック系の男子校は、ガラが悪くてすぐに虐められそうになるコナー。
兄の影響でロックが好きなコナーは、学校の前にいる綺麗な女の子を見かけて一目ぼれ。モデルだという女の子につい、バンドやっててMV作るから出てくれないか、と口走ってしまう。

それからあわててバンドを作る事になりますが・・・

大林宣彦監督の『青春デンデケデケデケ』によく似た映画だと思いました。バンド結成の理由がこの映画は女の子だけれど、最初は下手くそで、ださい手探りの高校生バンドがだんだん、上手く、洗練されていくんですね。
この映画はきっかけがデュラン・デュランのMV「リオ」なんですが、デュランは、映画監督などを呼んで映画のようなMVを作ったさきがけ的な存在。

デュラン・デュランはメイクをして着飾っていましたが、コナーたちにも影響大で、メイクやファッションがもう、なつかしくて~~~

最初にメンバーというより、マネージャーがつくあたり『ザ・コミットメンツ』みたいだし、次に出会う楽器なんでもできる同級生、エイモンが、すごく好き。なぜかウサギが大好きで家に行くといつもウサギ抱いてるとか。作曲など心強い仲間になっていく。

弟のロック指南役のお兄さん、ブレンダンもよかった。不仲の両親に心を痛めつつも弟をかわいがり、影のしっかり者。

コナーが好きになる女の子がMVを撮っている時に海に飛び込むふりをする所、本当に飛び込んでしまって、コナーに「中途半端はダメ」という所が好きです。

この映画はアイルランドである、ということがとても大事な要因。
・コナーたちは、アメリカの高校生活に憧れている。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいなプロムに憧れているように『バック・トゥ・ザ・フューチャー』へのオマージュがたくさん。
また、せめてイギリスに移住できれば・・・というのもアイルランドならでは。
明るいハイスクール・ライフがまぶしかったのは日本だけではなかった。

・両親が不仲なのに別居しかできないのは当時はまだアイルランドでは離婚は認められなかったから。

・これ、ふと気がついたのですが車は日本と同じ右ハンドル。

さわやかで、後味がよくて、いじめっ子も味方につけちゃうしたたかさなんかもいいですね。
有名スターが出ていないので日本では単館公開でしたが、渋谷シネクイントやシネセゾンあたりがぴったりの映画。
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