アキラナウェイ

シング・ストリート 未来へのうたのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

4.4
続けて音楽の映画を。

ジョン・カーニー、音楽愛溢れる監督。彼のはじまりのうたは大好き。今度は80年代青春映画だ!

1985年のダブリン。父が失業した事により転校を余儀なくされた15歳のコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)。両親が喧嘩ばかりの家庭にも、荒くれ者ばかりの高校生活にもうんざりしている。しかし、1つ歳上でモデルのラフィーナ(ルーシー・ボイントン)に「僕のバンドのMVに出てみない?」と声を掛けた瞬間に、コナーの恋と夢が走り出す。

集まったバンドメンバーは、スクールカースト下層のポンコツ達。しかし、作曲を担当するエイモンのメロディーとコナーが紡ぎ出す歌詞とが何せ素晴らしい!

そしてMV撮影が楽しそう!MTVで最高にクールなアーティスト達がキラキラしていた80年代。コナー達も80年代風のお洒落ファッションに身を包み、派手なメイクでキメる!BTTFを彷彿させる50年代、アメリカのプロム風のギグが最高に盛り上がる!

同級生からの暴力も
がんじがらめの校則も
喧嘩ばかりの両親も
何もかもクソったれだけど、
コナーはただひたむきにあの子に向けて歌い続ける。

コナーの成長と共に、歌詞の内容も変わり、バンドも成長していく。同時に家庭内不和も臨界点を迎え、全てが弾け飛ぶかの様なラストを迎える。

そして、何よりこの映画は兄弟の物語だ。コナーの兄ブレンダン(ジャック・レイナー)がキーパーソンと言える。コナーに音楽を、恋愛を、そして夫婦仲の悪い両親を持つ家庭での在り方を、全て教えてくれた兄。ラストで未来へと漕ぎ出す弟を自分の事の様に喜んで送り出す兄の姿が印象的。

僕も兄に音楽を教わった。兄はUKロックが好きだったので、自分も自然とUKの音楽にハマった。The Beatlesもoasisもblurも、それだけじゃない、もっともっと沢山の音楽を教わった。

僕は90年代がティーンエイジャー真っ只中なので、劇中のデュラン・デュラン、ザ・キュアー、a-ha、ザ・クラッシュ等はドンピシャではないにしても、MTVに噛り付いていたあの頃を思い出させてくれる素敵な映画。