ようすけ

シング・ストリート 未来へのうたのようすけのレビュー・感想・評価

4.0
思春期にやっちゃうことリストを手元に置きながら観たら、ほぼチェックが入る。

髪型やファッションが変わる変わる。地味なイケメン主人公が前髪金髪。ちんちくりんのデヴィッドボウイ。

「◯◯やろうぜ」という言葉がとてつもなく魅力的で帰属意識を満たしていた。「バンドやろうぜ」ということで、スクールカーストで言ったらかなり危うい弱い立場にいる子供達が団結して孤高のグループになる。安っぽいPVに聞いていて恥ずかしくなる歌詞。けれど、そういったものが全て許される。やる方も聴く方も若い。

妄想の中でもあったように本当は教師がノリノリで躍り、校長にバク宙をして欲しかったんだろう。

敢えてPV でヒロインが海に飛び込むシーンを造ったのは、作中でいつもしている濃いメイクを剥ぎ取りたかったからだろう。

「桐島部活やめるってよ」という言葉自体が、誰もが経験するあの時期にとってマイナスの意味で衝撃だった。「バンドやろうぜ」は行き場のないエネルギーをぶつけるには最高のプラスの魔法だったと思う。

みんなで何かをやること、自分は特別な何者かになれるという意識、未来がまだまだこれからというモラトリアム。

若い人がこの作品を観たら何というかな。まぁ自分はおじさんと言えど君らが哺乳瓶を咥えている以前にすでに経験済みだからな。

自分が忘れていたことを思い出させるからこそ映画は面白い。
ようすけ

ようすけ