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シング・ストリート 未来へのうたのYYamadaのレビュー・感想・評価

4.1
【音楽映画のススメ】
~ 音楽と映像の素晴らしき
   コラボレーション

◆作品名:
シング・ストリート 未来へのうた
 (2016)
・作品のジャンル : 青春ドラマ
・楽曲のジャンル : 主にUKロック

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・大不況にあえぐ85年のアイルランド、ダブリン。14歳の少年コナーは、父親が失業したために荒れた公立校に転校させられてしまう。家では両親のケンカが絶えず、最悪な日々を送るコナーにとって唯一の楽しみは、音楽マニアの兄と隣国ロンドンのミュージックビデオをテレビで見ること。
・そんなある日、街で見かけた少女ラフィナの大人びた魅力に心を奪われたコナーは、自分のバンドのPVに出演しないかとラフィナを誘ってしまう。慌ててバンドを結成したコナーは、ロンドンの音楽シーンを驚かせるPVを作るべく猛特訓を開始するが…。

〈見処〉
①君といれば、無敵。僕らバンドの
PVで、憧れのロンドンを目指す——
・『シング・ストリート 未来へのうた』は、2016年にアイルランドで製作されたヒューマンドラマ。
・好きな女の子を振り向かせるためにバンドを組んだ少年の恋と友情を、1980年代ブリティッシュサウンドに乗せて描いたパワフルに描いた青春映画。
・前監督作品『はじまりのうた』(2013)同様に、本作でも脚本・制作・監督を務めたジョン・カーニーの半自伝的な作品である。
・出演は『コーダ あいのうた』のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ、『ボヘミアン・ラプソディー』のルーシー・ボイントンほか。

②作品を飾るロックの名曲たち
本作の見どころは「80年代の英ロックシーンを賑わした名曲」と「キャストが演じるオリジナル曲」。ここでは、本作に登場するロックの名曲たちを取り上げてみたい。
❶リオ / デュラン・デュラン
イギリスの人気バンド、デュラン・デュランの最大のヒット曲。本作では主人公のコナーが鑑賞するMVにて登場。
❷悪意という名の街 / ザ・ジャム
1982年に発表されたパンクロック。『リトル・ダンサー』の挿入歌として使われていたそうだが、未検証。
❸インビトゥイーン・デイズ /
ザ・キュアー
アップビートなテンポが特徴的な、イギリスのバンド、ザ・キュアーによる大ヒットナンバー。
❹マンイーター /
 ダリル・ホール&ジョン・オーツ
本作ではコナーの心を一瞬で掴んだ年上女性ラフィナのイメージにぴったりな、アメリカのソウル・デュオ、ダリル・ホール&ジョン・オーツの代表曲。
❺ステッピン・アウト 夜の街へ /
 ジョー・ジャクソン
・イギリスで70年代後半から活躍するジョー・ジャクソンが、1982年に発表したシングル曲。ニューヨークの夜をイメージしたピアノとベース音が印象的な 大人向けポップ。

③結び…本作の見処は?
◎: 万年「曇り空」「不況」の街、アイルランド・ダブリンを舞台に、鬱憤が溜まる高校生たちのバンド活動を通じた「悲しみの中の喜び」探し。ラスト・ギグのハードロック。自らの夢を乗せ、弟の旅立ちを見送る愛すべき長男。荒波のなか灰色で陰鬱な世界から脱出を試みる若いふたり。そのどれもが、現状打破を賛美し、余韻を残す素晴らしい作品となっている。
◎: 本作を彩る名曲ナンバーに優るとも劣らない、劇中バンド「シングストリート」のオリジナル楽曲も素晴らしい。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「魅惑の深海パーティー」をオマージュした学校主催のプロムを舞台とした初ライブは、なかなかのムネアツ・シーン。ライブを眺めるヒロインのルーシー・ボイントンは『ボヘミアン・ラブソディ』のライブ・エイド舞台袖で見せた笑顔を、本作でも振り撒いている。
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