このレビューはネタバレを含みます
写真家の助手になる青年の話。
黒沢清の初の海外制作作品という事でしたが、ドアが勝手に開いたり、カーテンがゆらゆら揺れたりと、黒沢清らしい不気味で不穏な世界観は変わらず。
外国を舞台にしているという事もあってか、暗闇から人が出てくるシーンやノワールぽい物語を見るに、ちょっとデヴィッド・リンチっぽいな~なんて事も思いました。
タイトルにある「ダゲレオタイプ」とは、大昔にあった写真の撮影方法の事。
小型のタイプもある様ですが、本作に登場する大型のカメラは機械自体も大きいし、撮影時間も1時間近く掛かったり、現像に水銀を使ったりと、なかなかに手間が掛かります。
モデルもポーズを固定する為に、道具を装着させられて大変なんですが、人物がくっきりと映された写真は目を見張るものがありましたし、複製が出来ないという唯一無二なところも魅力なんでしょうね。
そんなダゲレオタイプを使う写真家とモデルを務める写真家の娘、写真家の助手として働き出す青年が主な登場人物。
最近、ダルデンヌ兄弟作品を続けて見ていたので、写真家役をオリヴィエ・グルメが演じていたのは嬉しかったし、娘の役のコンスタンス・ルソーも印象的。
ちょっと斜視っぽい目元に特徴があって、怪しげな雰囲気があったし、前田敦子に似てるな~なんて事も思いました。
物語的には、娘に対して支配的な写真家と、それに反抗する娘の話が描かれるのかと思いきや、中盤で娘が突然の転落死。
そこからは、古典的な幽霊ホラーになっていくので、個人的にはイマイチ刺さらなかったなと。
写真家が自殺する理由もよく分からないし、「娘が幽霊でした」っていうオチも早々に読めてしまって、ちょっと何をやりたかったのか理解出来なかったです。
まぁ、恐怖と言うよりも、悲しさや切なさといった情感に訴えるタイプの幽霊映画だったのかな~と思いますが、そういう映画は苦手なんですよね~。