マヒロ

グリーンルームのマヒロのレビュー・感想・評価

グリーンルーム(2015年製作の映画)
3.5
売れないパンクバンドが、飯の食い扶持を稼ぐためにネオナチの巣食う怪しげなライブハウスで演奏することになるが、そこで不運にも事件に巻き込まれてしまい…というお話。

包囲されライブハウスから出られなくなってしまうという、いわゆるソリッドシチュエーションスリラーの一種。大胆とも言えるほどの展開の省略で、流れるように主題に入る手腕が素晴らしい。展開だけでなく画面に映るものも省略されているので、誰が何をやろうとしているのかがなかなか明かされずかなりヤキモキさせられる。
ネオナチのリーダーであるダーシー(パトリック・スチュワート)は、事件の証拠を残さないように銃を極力使うなという指示を出すんだけど、その代替案が「刃物」と「凶暴な犬」で、銃を使うよりよっぽど痛々しい暴力描写が連発する。全体的な展開のスマートさに、刃物で切りつけるシーンの多さも含めて、映画自体がこちらを切り裂いてくるような鋭い雰囲気を湛えている。

前作『ブルーリベンジ』と同じく、タイトルの色(今回は緑)を配置した画面作りも美しく、常にモヤがかかったかのようにくすんでいるのも閉塞感を増している。CGに頼らず、特殊効果によって作り上げられたゴア描写も含めて、単なるホラーとしては片付けるには惜しい誠実さがある。

もう一つ何か印象に残るような爆発力があればもっと良かったな、とは思うんだけど、前作に引き続き堅実な面白さのある作品だった。次は何色なんだろう?

(2017.73)[16]
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