わたふぁ

世界のわたふぁのレビュー・感想・評価

世界(2004年製作の映画)
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北京を出ないで世界を回ろう、をコンセプトに世界40ヶ国109ヶ所の観光名所を1/10スケールで再現したミニチュアパーク「北京世界公園」で、ダンサーとして働く女性タオを中心に描いた群像劇。

東京ドームおよそ10個分の広さに収められたコンパクトな「世界」の中で、ジャ・ジャンクーは、若者なら誰もが一度は抱く「ここではないどこかへ」という漠然とした不安を描く。
ちょっと小さいエッフェル塔に、ピラミッド、ピサの斜塔など...、ロケーションが“常にフォトジェニック”なので、ありきたりな画は見当たらない。

外の世界への憧れを抱く者、
ここで満足している者、
その中でさらに束縛をする者、
出ようと思えば出られるのに躊躇して、その勇気の無さを思い知る者。

“ちょうどいいサイズ”ってのはそれぞれ違って、無理に合わせるべきではないけれど、合わせたいと無理するのもまた人間で。大き過ぎたり、小さ過ぎたりを一つ一つ経験して、居心地のいい場所を見つけていくのでしょう。タオは少し焦り過ぎたのかなぁと思う。

時折、唐突に挿入されるアニメーションが好きでした。ミニチュアパークという既に異空間の場所から、イラストが動き出す異次元へ、さらなるイメージの膨らみを感じました。