KnightsofOdessa

世界のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

世界(2004年製作の映画)
3.0
["世界"で働くのに世界を知らない人々の物語] 60点

完全に物語がタイトルに負けている。色彩が狂っているわけでもなく、ショットや挿入されるアニメにこだわりがあるとも思えない。ただ、荒涼感の漂うロングショットや乾いた空気感は好き。過程を示さず、原因と結果のみを与え続けるのも好き。でもやっぱり、あのジャケ写とタイトル「世界」だけ聴くと本作品なんかよりもっと狂った作品を期待してしまうのも事実である。

ジャンクーが何を言いたいのか上手く汲み取れないが、"世界"で働くのに世界を知らない人々の物語であることは明白だ。ただ、そこに"世界"に対する拘りが見えないのが残念だ。ミクロだろうがマクロだろうが彼女たちはそれでも"世界"の一員として生きていくということなのだろうか。そうなると世界公園(ミクロ)自体の存在感が圧倒的に薄い。

ジャ・ジャンクーはジャジャン拳としか思えないんだけど、大変失礼だからこれ以上は言わない。みんな思ってると思うけど初ジャンクー作品だから許して。

追記
映画でタロットカードを作るとすれば、"世界"の札は本作品にする予定だったがあまり気に入らなかったので止める。ちなみに、これまで見てきた中で決まっているのは「鉄路の白薔薇」が"運命の輪"だけである。
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