ガンビー教授

The Magician(英題)のガンビー教授のレビュー・感想・評価

The Magician(英題)(1898年製作の映画)
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手品師でもあったメリエスの、そのものズバリ手品師という短編。ジャンプカットによるトリック撮影を(氏が)初めて取り入れた『ロベールウーダン劇場における婦人の雲隠れ』(the vanishing lady)よりあとの作品で、技術的には向上しているのだと思う(変化の回数がかなり増えている)が、それゆえにテンポ自体は先述の短編と比べて単調に感じなくもないし、そのことが(あとの作品であるにも関わらず)習作の感を強めている。
ただ、画面に映されるものが一定のリズムで次々にまったく脈絡なく別の何かに変容していくのはちょっとシュルレアリスムっぽい印象さえ受けたり。

『婦人の雲隠れ』に比べると、ここはどこで、誰が何のために何をやっているのかはまったく映像の中では語られていない。その幻惑的な内容に対する『マジシャン(魔法使い?)』という、取って付けたような説明を施す題名が、ちょうど小泉八雲の『狢』のようでもある。
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