「過去は追いかけてくる」
↓あらすじ
ハイウェイをひた走る軽トラック。血まみれ訳ありの男2人。何かに怯えながらガソリンスタンドへと逃げ込む。安堵もつかの間、何者かに追いつかれて殺害される。時同じくガソリンスタンドからガールズバンド三人トリオが女子旅に出発、途中でパンクする。修理が出来る町まで通りがかった夫婦の宅に泊めてもらうことになるが、三人の内二人の言動がおかしくなる。泊まった家の人々もどこかおかしい。寝静まった頃、一家と女友達二人が火を囲みながら怪しい儀式を起こっているのを目撃、女性は逃げ出すが、スマホながら運転をしていた車に轢かれてしまい…
・感想
悪魔のバトンリレー、理解する前にバトンタッチの連続、まさに意☆味☆不☆明☆の謎のめいた5つの物語。オムニバス形式を取る作品らしく、主人公と思わしき人物が悪魔に喰い殺されたり、車に轢かれた挙句素人に腹を切り裂かれて肺を握られて死んだり、全裸の男達に服を脱がされてどこかに連れ去られたり、薄気味悪い仮面強盗集団に一家皆殺しにされたり…バトンリレーのように立ち代わり入れ替わりが起きる。視聴者側の納得が行く前に入れ替わりが起きるわけではなく、釈然としないまま展開し、置いていかれがちだった。どうも悪魔が関係しているらしいが一貫性が見出せない。意味深な台詞から、苦労してそれっぽい法則性を見つけても5つの物語全部に共通するものでもないので皆目検討もつかない。何やら意味深な物語のようだが、情報量が少ない。普通に鑑賞して全体像が読める設定なのかも怪しい。あえて謎を残したままに観客にあれこれ推理させる意図があるのかもしれない。馬鹿正直に鑑賞すると腑に落ちない。話の意味を推理したい方にはなかなかオススメ。個人的には謎めいていて歯ごたえがあり興味深い作品だった。「ドニー・ダーコ」より優しいレベルだろうか?
・注意点
日本版ポスターに髑髏の怪物がデカデカと写っているからその手の怪物ホラー映画かと誤解されて鑑賞するのは駄目。欧米風世にも奇妙な物語と言った感じでイメージされると分かりやすい。繋がりがあるんだか無いんだか分からない5つの物語が連続展開する。結構頭を悩ませる難解な作品である。
・悪魔のバトンリレー
観てない方には何のこっちゃな考察を陳列するので生温い目で見守って頂きたい。今作は意地悪、一筋縄ではいかない。欧米版ポスターには五芒星がデカデカと描かれているらしい。五芒星は一筆書きが可能。ということはポスターは5つの物語に隠された一貫性があることを示唆しているのだろう。的外れで頼りない考察なので聞き流していただきたい。今作ではカーラジオから冒涜的な説教が延々と流れてくる。内容は支離滅裂、狂気的な内容で意味不明だが、過去や罪、清算…みたいな言葉が繰り返されている。単語からあれこれ想像すると過去の過ちを清算という意味だろうか。それなら2番目に出てきたガールズバンドの女性と4番目に出てきたおじさんが当てはまりそうだ。3人で女子旅しているからガールズバンドは3人組なのかと思ったが本当は4人組だったらしい。何故4人目のメンバーが旅に同行していないのかは直接語られることは無いが、彼女らの話を聞いていると大体察しがつくだろう。4人目は些細なアクシデントが原因で亡くなったらしい。狂気の一家に泊まり豹変、2人が1人に4人目の死について糾弾、1人に罪の意識が疼きだす。死の原因に何かしら関係があるようだ。次に4番目のおじさんの話、おじさんは13年前に失踪した妹を探して町に来たらしい。運良く妹と再会を果たすが、町にはびこる悪魔達に襲われる。悪魔達を撃ち殺して妹を救出。しかし妹はあまり再会を喜ばない。失踪する前に何かしらトラブルがあったらしい。その時兄は助けてくれなかった。それを恨んで?そこまで語られていないので憶測だが。女性とおじさんの共通点は「過去に過ちを犯したこと」にある。2人の物語は過去の清算か。強盗犯の過ちはなんだろう。スマホながら運転で女性を撥ねた過ちはなんだろう。何となく共通点が見える。悪魔は何の示唆だろう。いろいろと想像が掻き立てられて面白い作品。