horahuki

サウスバウンドのhorahukiのレビュー・感想・評価

サウスバウンド(2015年製作の映画)
3.2
各話のラストが次の話にそのまま繋がっていくという変わった構成のホラーオムニバス。

評価めちゃくちゃ低いけど、こういうの結構好きです。悪夢的というか、よくわからないけど何だか嫌〜なお話を続けざまに見せられる感じ。一応オムニバスだから各話個別に楽しむこともできるんですけど、各話の関連性を探りながら見る方が楽しいのかも。

1話目『The Way Out』
血だらけで車を運転する2人の男。彼らは南へと向かう道中で、モーテル併設のガソスタ&カフェに立ち寄る。彼らの周りには何か得体の知れない黒い物体が宙に浮かんでいる。トイレで血を洗い流していると地震でも来たように急に店が揺れ始める。急いで車で逃げ出す2人だったが…。

2話目『Siren』
3人組のガールズバンドがライブに出るために南へと車を運転中にタイヤがパンク。通りがかった老夫婦が、「今夜ウチに来る友達夫婦なら修理できるかも」と提案し、一緒に老夫婦の自宅へ。なぜか彼らは自分たちのことを知っている様子。そしてやってきた友達夫婦&子どもの様子もおかしい。そして食卓に出てきたのは謎の黒い肉塊だった…。

3話目『The Accident』
夜道を妻と通話しながら運転中の中年のオッサン。道路に飛び出してきた女性を轢いてしまう。女性は痙攣を起こし命が危ない。すぐさま救急に電話するも場所を示すものが周りになく、現場を特定できないため出動できない。オペレーターの指示通りに、近くの街に女性を搬送する主人公だったが…。

4話目『Jailbreak』
電話を切ったオバさんがバーに入ると、銃を構えた男が押し入ってきた。彼は1年前に行方不明になった妹を探している様子で、「居場所を言え!」と銃で店主を脅す。店主は彼を嘲り「お前はおしまいだ」と言いながら、男を案内する。男が案内されたドアの中に入るとそこには…。

5話目『The Way In』
両親と別荘に遊びに来ていたJK。楽しそうに過ごす3人だったが、外には何者かの気配が。急いで警察に通報するも到着には30分かかる。何とか逃げ出そうとする家族だったが、仮面をつけた3人の男に取り押さえられ…。


面白いのは各話の根幹部分を意図的に観客に見せないこと。だから、登場人物の行動や動機の肝心なところが意味不明で、物語が宙に浮いたまま終わりを迎える。それが合うか合わないかで大きく評価が割れそうな作品。

過去に犯した罪や後悔。それらに囚われ続ける人々が、さらに牢獄の深みに足を踏み入れてしまう物語って感じですかね。わかりやすいのは2話目の『Siren』と4話目の『Jailbreak』なんだけど、3話目の『Accident』は良く分かんなかったですね。事故起こしちゃったらしゃーないっていうことなんかな。

ちなみに1話目のカフェのテレビで流れてるのはカルトホラーの傑作『恐怖の足跡』。途中でもう一つテレビから何か流れてたけど、そっちは分かんなかったです…。『恐怖の足跡』から推測すると、1話目の彼らは既に(5話目の行動に出た時点でorもっと前の段階で)死の牢獄に囚われているということかな。そう考えるとジャケ写になっているナイスなビジュアルの化物は死神的な存在ということなんでしょう。だから死者である彼らを連れ戻しに来た。もしかしたら死者たちが集まる場所なのかもしれません。そして彼ら自身の後悔を永遠と繰り返しているのかも。

いったい何がどうなってるのかは良くわかりませんでしたが、何でもかんでも説明しちゃうダサダサな作品よりかは、あえて根っこを提示しない本作のやり口の方が好きです。
horahuki

horahuki