KnightsofOdessa

ほうきに乗った女の子のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ほうきに乗った女の子(1971年製作の映画)
4.5
[魔法少女サクサナ、プラハを駆ける] 90点

大傑作。主人公サクサナは魔法学校に通う魔法少女である。しかし、残念ながらホグワーツのようなウキウキするタイプの魔法学校ではなく、教室から寝室まで満遍なく黴臭そうで至るところに蜘蛛の巣が張っていて、先生は帽子被って大鍋をかき回してそうな爪の長いおばさんで、校長は手が四本あるエセ吸血鬼みたいなビジュアルで、同級生は渋谷のハロウィンよりも賑やかな服装をしているという、お世辞にも近寄りたくないタイプの魔法学校である。ふとした表情がちょっとコンスタンス・ルソーに似ているサクサナは、そんな魔法学校の落ちこぼれ。テストに失敗して300年間(!)の居残りを命じられた彼女は、44時間だけ人間界に行ける魔法を使って現代のチェコへと降り立つ。

フクロウとして地上に降り立ったサクサナは動物園を経由してホンザという心優しい青年に出会い、人間世界に居着くアイテム"老婆の耳"を探し回ることになる。落ちこぼれということで危機的状況で呪文を忘れたり、悪ガキ三人組をのさばらせ続けたりと中々頓珍漢で平和な展開が続いていく。数ある魔法の中でも動物への変身のエフェクトが結構凝っていて、自信があったのか何度も登場するのが可愛らしい。あと、人形にしたホンザくんの首をちぎって持っていくという中々に猟奇的な流れが、まさかナポレオンの首像と合流する展開には感動した。あと、口うるさい教師をウサギ歯しちゃうんだが、ハンカチで隠したり病院に見せに行ったり"その後"が描かれてて興味深かった。

車が七変化する終盤からラスト5分の疾走感が半端じゃない。全部の伏線を回収して回る感じ。プレストン・スタージェスも驚くだろう大団円。最高に面白い。
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