ヴェネツアについて(歴史の授業)の作品情報・感想・評価

ヴェネツアについて(歴史の授業)2014年製作の映画)

À propos de Venise

製作国:

上映時間:24分

3.6

「ヴェネツアについて(歴史の授業)」に投稿された感想・評価

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tの感想・評価

3.5
河と樹の固定ショット+ナレーション。繋がっていると思いきや分断されているベネツィアの歴史背景を映画そのものでプレゼンしている?癒し系

このレビューはネタバレを含みます

まずドカッと映される大木、これ自体だけでも味わい深いけれども、むしろその側にある岩を間断なく打ちつける波の方に目が行ってしまうのは、タルコフスキーが描写したような水の神秘性が感じられるからだろうか。

と考えているとその波をデカデカと映したシーンに途中から移行するけど、そうなったら逆に波が覆う巨根の方に目が行ってしまうのが中々どうして面白い。

するとテキストを読み上げていた老婆の姿が一瞬映り、同録風景のネタバラシを唐突にやってのけるのには良くも悪くもストローブ的悪戯心が感じられ憎らしい。

しかし最後の脈絡の全く読み取れないアンナ・マグダレーナ・バッハの1シーンは一体何だったのだろうか。
ヴェネツィアと明示されていないがヴェネツィアなのだろう、河岸の木と枝が延々と長まわしで捉えられる。似た時間帯、あるいはまるで違う時間帯に全く同じ場所から固定ショットで繋げているため、長まわしであってカットは割られているという両義的な効果も生まれる。水の表情の豊かさもまた美しい。そこにモーリス・バレス(ストローブはよほどこの作家が好きなのか)の旅行記「愛と悲しみの聖地」の一遍「ヴェネツィアの死」第3章「アドリア海の水平線上に漂う影たち」の一節が読まれる。神話的な都市ヴェネツィアの重層的な歴史的記憶。ゲーテ、ナポレオン、シャトーブリアン、ここには登場しないがワーグナー(ヴェネツィアで客死した)、トーマス・マン、ヴィスコンティ(言うまでもない)、エトセトラエトセトラ…。頭と最後に自作の「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」のシーンが引用されるが、例によってこの意味はよく分からないが、味わい深い。そして最後の最後に河辺にセッティングされた椅子に座る朗読者とマイクが一瞬だけ映し出され、これが同時録音だと暗に提示される。