ほいほい

僕らのごはんは明日で待ってるのほいほいのレビュー・感想・評価

3.2
タイトルからして「え、どういうこと?」ってなるじゃないですか。でも実際に観ると、「あ~なるほど、こういう話なのね」ってしみじみしちゃう、じわじわ系の青春ラブストーリー。で、主演が中島裕翔と新木優子っていう、もう「間違いなく画がいい」コンビ。映像美とキャストの透明感だけで満足感かある映画になってるんですけど、問題はそこじゃないんです。

何がすごいって、主人公・葉山亮太(中島裕翔)が無駄にネガティブなんですよね! もう、恋愛映画の主人公って、たいてい「ちょっと不器用だけどピュアで真っ直ぐ」みたいな感じじゃないですか。でもこいつ、なんかもう全体的に暗い! いや、そこまで悲観的になる理由ある? っていうくらい、ずーっと内向的。で、そんな彼を「ほらほら、もっと世界を明るく見なよ!」って引っ張るのが新木優子演じる上村小春。これがまたTHE・ポジティブヒロインなんですよ。こういう「陰と陽」みたいな関係性って、ラブストーリーではありがちだけど、この映画はそこにプラスして時間軸のズラし方が絶妙なんですよね。

最初は「よくある青春恋愛映画かな?」って思って観てると、途中から「あれ? なんか雰囲気変わった?」ってなる。物語の進行がリニアじゃなくて、過去と現在を行ったり来たりするから、観てるうちに「あれ、これってどう繋がるの?」ってじわじわ気になってくるタイプ。で、話が進むにつれて「あぁ…そういうことか…」って、ちょっとずつ腑に落ちる感じがあるんですよ。

ただ、これを「泣ける映画」として宣伝しちゃうとちょっと違う気がするんですよね。確かに泣けるんだけど、むしろ「静かに沁みる」って感じ。なんなら、観てるときよりも、観終わったあとにジワジワ効いてくるタイプ。ラーメン食べた後に「あれ、なんかまた食べたくなってきたな…。」って思う感覚に近い。

泣かせよう!っていう押し付けがましさがあまりなくて、静かに優しく背中を押してくる感じ。観終わったあとにしみじみ噛みしめる、そういうタイプの作品です。
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