EDDIE

ニードフル・シングスのEDDIEのレビュー・感想・評価

ニードフル・シングス(1993年製作の映画)
4.1
悪戯の連鎖。物欲のいく先は身を滅ぼしていく。人の憎悪の増幅が怖いほどまでに映し出されたスティーブン・キング原作映画の快作。マックス・フォン・シドーの演じる得体の知れない老人店主の不気味さがいい。

ホラーと位置付けられている割には全然怖くありません。ただ人間の憎悪が膨れ上がっていくリアルな感情の怖さはまざまざと感じました。
キング作品でお馴染みの小さな街“キャッスルロック”で、今回は“ニードフルシングス”という骨董品屋がオープン。
ミッキー・マントルのベースボールカード、貴重な絵画や稀少な初版本…あらゆる人の物欲を満たす物品の数々が、キャッスルロックの街の人々の人生を狂わしていきます。

ある人はある人を憎む、別の人はさらに別の人を憎む、その憎しみの連鎖に制裁を下すのは無関係な人間。
よく殺人事件なんかが起こった時、犯人の動機を探ります。本作においてその動機がミスディレクションになっていくんですね。あいつには犯行を犯す動機があったから、あいつがやったはずだ。そうやって人は人を更に憎み、その憎しみの感情はエスカレートしていくのです。

原作小説はかなりの長編のようで、映画版はだいぶ端折られているようです。ただ原作未読の私にとってはとても面白く観ることができました。原作知らない方の方が楽しめるかもですね。

“ニードフルシングス”の店主であり、悪魔と称されるリーランド・ゴーントを演じたのは、名優マックス・フォン・シドー。彼の持つ独特の怪しい雰囲気がゴーントをより不気味に見せています。

終盤は憎しみの感情がいくところまで突き抜けて大掛かりな大事件にまで発展していきます。エンタメ映画としても充分に楽しめる作品ではないでしょうか。

※2020年自宅鑑賞186本目
※シネフィルWOWOW録画にて
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