yuum

不滅の女のyuumのネタバレレビュー・内容・結末

不滅の女(1963年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

不自然に静止するトルコの街の人々、舞台上で台詞を言うかのように話す警官。主人公男性のフランス人が心に思い描く東洋趣味(オリエンタリズム)は幻想であると風刺するように、映画の端々が「目に映るものすべて虚像だ」と静かに主張しているみたいで面白かった!

なぜヒロインは「偽物のモスク」「偽物のビザンティン」「偽物の金」などと執拗に言いづけるのだろうと不思議だった。けれどもストーリーが終盤に向かうにつれ、実はヒロインが人身売買されていたのかもと仄めかされてから、ああ彼女は人生が最早自分のものでは無くなってしまっていたから見るもの全てが虚構に感じられたのかな、と悲しい推測が頭に浮かんでくる。そうなると、はじめはフェティッシュで美しい装飾品に見えた金の鎖も、美しい奴隷を繋ぐための道具に見えてしまった。
yuum

yuum