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嘘をつく男のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

嘘をつく男(1968年製作の映画)
3.6
初、アラン・ロブ=グリエ監督。
狂人の戯言に聞こえる死者の嘆き。
もっと短編でもよかったんじゃないかな。その場での即興の嘘が繰り返され混乱し、長く感じた。

嘘をつき続ける男が語らなかったことは、「銃撃で追いかけられる恐怖」。

村の英雄の友人のふりをして村に滞在し続けるが、誰も信じていない。

舞台劇風の一人芝居にもみえる。

金属音が現代音楽のように響き、銃撃音が炸裂する。

戦争の恐怖と死者たちの語りたかったことをいくつもの真実で描いているのだと思った。英雄と言われている男たちは英雄とは言えない戦死だった。銃撃が怖くて逃げ惑う。生者はきっと英雄として死んだと思いたい。無責任に。戦争の恐怖を伝えたい死者は、戦死者の死はそのどれかだと。

戦争で作り上げられた「英雄」像を皮肉たっぷりに落としている。

なぜか『鬼火』を思い出した。主人公の言葉が上滑りしていて現実感がなく、栄誉の死を求めているところが。絶望した末の最期の言い訳を女性に聞かせたいところも。
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