んぎ

嘘をつく男のんぎのレビュー・感想・評価

嘘をつく男(1968年製作の映画)
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そもそもが嘘で成り立っているメディアで嘘を語るということ。構造上の欺瞞を逆手にとった胡乱な作劇は観る者にめまいを誘引し、その迷妄のなかで寄る辺なく思考すら擲ってしまいたくなる。その帰結として不可避的に待ちうける睡魔が首根っこを掴もうとするすんでのところで、鐘の音、万雷の拍手、銃声といったドラスティックな響きが、半ば失いかけた焦点をふたたび釘づけにしてしまう。宙吊りとなった意識の淵で、むなしく残響するその音さえも画面のなかでは嘘でしかないことがわかり、もはや何も信じられなくなるのだ。
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