20世紀初の大虐殺の話。長いが観る価値はあった。トルコで迫害されたアルメニア人たちの国外への脱出を描いている。映像と音楽がとにかく美しい。オスカー•アイザック演じるアルメニア人のミカエルは、婚約者マラルの家の持参金で医学部へ進学、そこで出会い恋に落ちるのがアナという魅力的な女性。彼女の交際相手はアメリカ人ジャーナリストのクリス。3人は第一次世界大戦の最中オスマン帝国でのトルコ人によるアルメニア人迫害という時代の波に翻弄されていく。ナチス以前にこれほどの大虐殺があったことは衝撃的。しかしこの映画はその残虐さよりも3人や彼らを取り巻く人々の人間ドラマに焦点を当てている。知らないとは恐ろしい。知ることも恐ろしいけれど。事実に目を向けなければならないと思った。歴史は繰り返されるというが、それは凄く的確な言葉だ。政府が恥を忍んで事実を闇に放り去れば同じ過ちが繰り返されるのも何ら不思議なことではない。人間の過ちを後世に伝える意味でも、この映画の意義はとても大きいものだ。またそのような極限の状況下でも、命懸けで事実と信念を曲げなかったクリスは賞賛に値すると思った。
