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THE PROMISE 君への誓いのardantのレビュー・感想・評価

THE PROMISE 君への誓い(2016年製作の映画)
4.5
『羊の木』(吉田大八,2018,アスミック・エース)を観た次の日に、この作品を観ると、その差に歴然としてしまう。もちろん、『羊の木』のような邦画が下で、この作品が上だと言っているわけではない。
次元が違うという表現が最も的確なように思える。

オスマン・トルコによるアルメニア人に対してのジェノサイド、そのことはほとんどの日本人が知る由もないだろう。教科書には出てこなかったし、歴史の好きな私でさえ、十数年前にある本で知ったのだから。

しかし、21世紀に入り、それを題材とした映画が制作されるようになった。『アララトの聖母』(アトム・エゴヤン,2002)、『消えた声が、その名を呼ぶ』(ファティ・アキン,2014)等であり、DVDあるいは映画館で私は観ることができた。

その中でも、映画としては、本作品が最も感動的なものだった。エンディングに流れるサローヤンの言葉が心に響く。

しかし、私にはまだ、なぜ、トルコ人がアルメニア人を虐殺しなければならなかったという根源的な問いが氷解しないままだ。

本作品は映画としての質は非常に高い。

ただ、残念なことは、このようなヒューマンな作品が、結局、米を含む西欧側のキリスト教圏から観た視点で作られているような気がすることだ。この作品でも、彼らは、正義の使者として表現されている。
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