ぬーたん

THE PROMISE 君への誓いのぬーたんのレビュー・感想・評価

THE PROMISE 君への誓い(2016年製作の映画)
4.3
歴史映画。1910年代だからちょうど百年位前のオスマン帝国によるアルメニア人虐殺を描く。
制作費の大半を出したのは虐殺から生き延びた家族を持つ大富豪のカーク・カーリアン。完成を待たずして98歳で亡くなった。
でも、その完成を楽しみに生きがいにして、苦労したそして世界でもトップクラスの大富豪になった波乱の生涯を静かに閉じたのだろう。
さて、今作は虐殺という恐ろしいテーマを描きつつも、恋愛に重きを置かれていて、観やすく引き込まれる。
ミカエル役はオスカー・アイザック。
グアテマラとキューバのハーフで、顔が濃い。
小柄だし、イタリア系に見える。
真面目で情熱的な役。
虐殺シーンでは迫真の素晴らしい演技に心打たれた。
アナにシャルロット・ルボン。
モデルだけあってスラリとしてスタイルが良い。
マラル役と微妙に似ている。
先ずはミカエルとこの2人の女性の三角関係。
そして、アナの恋人クリスにクリスチャン・ベイル。
この方、今作ではごく普通の役、珍しい。
太ったり激やせしたり、ハゲたり飛んだりと、何かしら特徴ある役を演じてるから、こんな在り来たりで善人の役も新鮮かも。
そしてどんな役でも、とにかくカッコいいんだなあ。
声が好き。静かで透き通る声。
今回の新聞記者は命の危険も顧みず、仕事や人助けに奔走する姿が、穏やかでありながら決意の固さをその表情で表していた。
私生活では一般人と長く結婚生活を送っていて、別れたくっついたと激しいハリウッドの中では珍しい。
それだけ仕事一途な男、という感じで色々あっても好感度高い。
アナを巡ってこのクリスとミカエル、という三角関係。
この2つの三角関係が時をずれて進行し、戦争と虐殺の中で逃げたり離れたり、気持ちと別に動くもどかしさがある。
ジャン・レノの白い軍服姿がキマってる。
ジェームズ・クロムウェルは身長が2m越えで、存在感があるわ。
2時間を超える壮大な歴史作品にも関わらず、全く中だるみはなく、時に残酷なシーンに目を背けたくはなるが、集中力がきれることなく見入った。
完成を見ずに亡くなったカーリアンさんが描いて欲しかった真実と、恋愛ものとしても素晴らしい作品となっている。
君への誓い、というのが余計だ。同じタイトルがあるからややこしいし、何を言ってるやら…。邦題センスなし。
ラストもいいね。
そのシーンは『ゴッドファーザーⅢ』のアル・パチーノが娘とダンスしてるシーンに被った。似てるわ。
素晴らしい。
ぬーたん

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