アルメニア人虐殺というオスマン帝国、負の歴史を描く作品。テーマは重いものの、恋愛ドラマが前面に押し出されていてメッセージ性が低くなっている気がする。
それとクリスチャン・ベール演じるアメリカ人記者の描き方によって、人権意識の進んだ欧米の人間がイスラム世界の野蛮さを暴く、という安易な図式に陥っていることが気になった。ともすれば欧米リベラルの自己満足的な作品になりがち。
現在もトルコ政府はアルメニア人虐殺を認めていない、という事実は第二次世界大戦を経た日本人の歴史認識と比較できるところがあり、興味深い。