栁夛一

シラノ・ド・ベルジュラックの栁夛一のレビュー・感想・評価

4.2
17世紀フランス、詩人にして剣豪、理学者にして音楽家と、多彩な才能を持つシラノは従妹のロクサーヌに恋心を抱きながらも、生まれ持った醜い鼻ゆえにそれを胸の奥へ押し隠し続けていた。しかしロクサーヌはシラノと同じ青年隊の若きにして美男子のクリスチャンを想い、シラノに恋の相談を持ちかける。同じくして、クリスチャンもまたロクサーヌに想いを寄せており、シラノは心ならずも二人の仲を取り持つことになる。愛の言葉を求めるロクサーヌのために、口下手で文才のないクリスチャンの恋文を代筆するシラノは、同時に自分の想いを重ねるのであった…

この大地には、かつて生きた人々の、言葉にならなかった想いが無数に眠っている。
目を覚ますことのない、口にしなかった想い、伝えられなかった恋心は、何処へ行くのだろうか。
栁夛一

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