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M・アーウィンとJ・C・ライスの接吻のTnTのレビュー・感想・評価

3.4
 情感たっぷりな表情となにかを囁き合う二人、そしてキス。サイレントを利用したもどかしさ、彼らの囁きは彼らだけのものなんだなぁとしみじみ。どうやら劇のワンシーンらしいが、その情報無しに見るとカメラ前でも惜しげもなく愛を伝えあってるみたいで素晴らしいなと思えたりした。

 wiki調べでは監督は「メアリー女王の処刑」の撮影を担当していることがわかった。当然そうなるとエジソン陣営ということである。エジソン陣営はどう撮るよりも何を撮るかに拘っているような。「バビロン」で引用されてた「アニーオークレー」の射撃映像も実はエジソンのブラックマリアスタジオ制作なのだ。このブラックマリアスタジオ(名前いかつい)、背景は大体黒で被写体だけがぽっかり浮く感じになっている(キネトスコープの名残だろう)。それ故に奥行きとかの表現が皆無なので、もっぱら何を撮るかが問題なのだ。そして撮った今作のキスは公序良俗に反するとして上映禁止になってしまう。なぜ擬似処刑映像がOKでキスがダメなのか。エジソン側は何を撮っていいのかの線引きにいつもかなり挑戦的である。それが招く結果を予期できないところが発明者の性なんだなとも思った。

「できるかどうかに夢中になりすぎて、すべきかどうかを考えることをやめたんだ」ー「ジュラシック・パーク」マルコム博士
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