三郎丸

聖の青春の三郎丸のレビュー・感想・評価

聖の青春(2016年製作の映画)
4.0
天才棋士、村山 聖の物語です。
テレビでも今や伝説の羽生善治のライバルとして、生き様込みでチョイチョイ特集していたので、見る機会があったことある方もいるかもですが、そんな彼の棋士としての生涯を映画化。

聖役の松山ケンイチが20Kg増量して挑んだ意欲作で、顔がブックリと登場します。(顔が面長なので、本人画像とはやはり印象が違うのですが…)役への意気込みは素晴らしい!
そんな本作は、主人公の病と闘いながらも、
【無骨に己のスタイルを貫いた主人公】
を描いていたのにはリスペクトを感じました。
素晴らしいです!

ストーリーはシンプルで、聖が棋士として生きた4年を描く。
舞台は全体的に昭和感満載ノスタルジックな街並み等、
対局場面では、戦局を描く代わりに
【静寂に駒を打つ音】
を響かせ、鑑賞者に緊張が煽られる演出効果は良いです。

また、本作はシリアス一辺倒ではなく、コミカルな部分もあり、特に軽くヤサグレて面白い演技で魅了した柄本時生が良いです!
毎回、ワタシは映画でこの人が出てくると何故だか期待して見ています!外見的なモノは良いです。クセモノ大好きです!
改めて、主人公の増量して臨んだ、聖役の松山ケンイチは圧巻です。この主人公を見るだけで映画ファンは本作を充分堪能出来るのでは?
髪の毛をかきむしったり等の細かい挙動や背中一つで、聖の人見知りを饒舌に語り、また、目くばせ一つで、将棋の強さと直向さを証明したりと、本人が軽く憑依しているのかと驚きっぱなしです…
七冠 羽生善治役の東出昌大、申し訳ないのですが本作で初めて良いと感じましたね!(笑)
主人公同様、ちょっとクセのある羽生独特の神経質さと、対局中の俯き加減が
「おお~!似ている。」
と感心しました。

死と背中合わせの人生を送った主人公の、将棋に対する揺らがぬ純粋さにはやはり常人にはなかなか持てない才能ですね。
世の中のほぼ全ての人間が、社会に迎合した方が楽な世の中と自然に選択するのに、
【自分を貫く】
というのは、カッコいい!
表面的な女性にキャーキャー言われるような安っスいモノじゃなく、中身あるカッコ良さです!

オススメのシーンは、
主人公が慣れた大阪を離れ、羽生を追い上京し、ストーカーのように一途な想いを寄せる羽生との食堂でのデートシーン!主人公の
「趣味が全く合わない」
のセリフが羽生善治という大きな存在に近づきたい気持ちが良く出ていたなと感じました。
非常に良いシーンでした。

大好きな将棋(事)に打ち込む純粋で真っ直ぐな青臭い気持ち、鑑賞後それをワタシは大人になってすっかり忘れていたと気がつきました。
短い生涯で幕を閉じた主人公ですが、強く真っ直ぐな生き様は、今後も語り継がれていくと思います。

最後に…
・羽生善治の寝癖が欲しかった…
・村山聖のトレンチコートが違和感ある、パンパンに膨れ上がった形…
そこだけ減点です!
三郎丸

三郎丸