何回かに分けての視聴になってしまって作品には申し訳なかったが、しっかり劇場で鑑賞できていれば、もっと高スコアになっただろうなかなかの良作でした。
若くして亡くなった天才棋士、
羽生善治との伝説の対局
と聞くと、「お涙満載の感動秘話」を思い出すだろうが、抑制と省略の効いたクオリティの高い作品。
つまらない映画だと、羽生あるいは村山聖本人に
「あなたと対局して本当に良かった!」みたいなことを喋らせてしまうところ、そういった感情の言葉や号泣場面がほとんどない。
その分、役者さんにしっかり演技をさせ、それで表そうとしている。
監督の森義隆さん、存じ上げていなったが、いい腕してると思った。
役者さんはみんないい!
主役の村山聖を演じた松山ケンイチについては後述するが、
羽生を演じた東出昌大!
以前、確か「寝ても覚めても」のレビューで書いたけど、僕は彼をあまりいいと思ったことがない。
だけど、この羽生さんは見事!
対局での鋭さ、繊細さ、そして、それが終わった時のほんわかさ、東出の個性もよく生かしていると思う。
脇もみんないい!何でも参加!何でも好演のリリーはもちろんのこと、染谷君もいいし、対局で負けた時の安田顕も上手い!
その中でも柄本時生!
聖の死を知る瞬間の体の折れ曲げ方!
そうなんだよ!上手い映画、上手い役者は号泣しない論をこれでも証明されたね。
そして、そして、村山聖役の松山ケンイチ!
その前に本作で描かれる聖という人物。
棋士なのに、コミックが好きで、麻雀もやり、アパートの部屋はぐちゃぐちゃ!
典型的なダメ男。しかも、女の子には声もかけられない、酔って絡む。先輩に雑言を放つ
将棋以外はなんもない。
だから、これだけに没頭していく。
羽生との対局シーンはどれも見事だが、特に温泉場での2人の奥の障子の外側が色を変えていくシーン。
2人にしかわからない世界に入っていったんだなって、、美しい場面でした。
村山聖の病気、ネフローゼ。この病を私の近しい人も患っていたが、あの太った感じ、青白い顔色、体の動かし方、しっかり作り込んで来ている。
当たり前のことだが、映画に取り組む姿勢の真摯さを松山ケンイチや本作全体から感じた!
→映画のために🏀や🎹を練習しました!なんて当たり前なんじゃ!
将棋のことがわからないこと、
羽生と村山の居酒屋での会話の使い方→2度使うのはどうだったか、、、
など、もう少し楽しめな要素はあったが、日本映画のこのレベルが充実していることも嬉しく思えた良作でした!
べ