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スイス・アーミー・マンのscaflocのネタバレレビュー・内容・結末

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

一見おバカ映画を装い、その実、内面に宗教的示唆に含ませた幻想を美しく描く意欲的な作品。聖人の奇跡を「十徳ナイフのように便利な力」としてことさら滑稽に表現することで観客の目を眩ましつつ、失った魂を洗礼によって「蘇り」としてドラマティックに復活させるくだりに、二人の監督の見事な手腕を感じた。これをプロテスタントの国の俳優であるダニエル・ラドクリフが演じるという妙も面白い。この怪演を彩る音楽がまた素晴らしく、作品に見事な花を添えている。ただ個人的には主人公が憧れていた女性が、それほど魅力的に描かれていなかったことがやや残念。あれでは主人公よりも観客が先に、幻想の夢から我に返ってしまいそう。それともそれも監督の計算なのかしら?
A8B7C8D8E5⇒36
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