フクイヒロシ

スイス・アーミー・マンのフクイヒロシのレビュー・感想・評価

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
4.5
四コマ映画→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=1830

「誰でも少しは気持ち悪いところがある。でも誰か1人が〝それでもいいんだ〟と言えばみんな幸せになれる!」的なセリフがあって、そこでグッとくる。

死んだように生きてきたポール・ダノと死んでるラドクリフ(死体役)が、2人で人生の喜びを見つけていく、という意外な感動作。

意外ですよ。
だって、ラドクリフが死体役で腹に溜まったガスがオナラとして出て、その勢いでジェットスキーみたいになってポール・ダノを乗せて移動する映画なんですから。
ラドクリフのオナラに火をつけて火炎放射器みたいにして熊と戦う映画なんですから。
なのに後半グッときてしまう。。

〝奇想天外〟とか〝荒唐無稽〟って言葉が虚しくなるような世界。

故郷に帰るために2人で和気藹々と力を合わせて奮闘する姿は、腐女子の皆様にはおかれましては狂喜乱舞ものだと思われますよ。

生きてるのが辛かったポール・ダノと訳あって死んでしまったラドクリフは、森の中で2人でいればこんなに楽しい(オナラし放題)なのに、なぜその自由を捨ててまで町に戻らなければならないのか…。
という疑問にぶち当たる。


まさかこの映画から「生きるとは何か」とか「生きる喜びとは」とかの疑問を投げかけられ、提示され、考えさせられるとは思わなかった。

『もののけ姫』と同じコピー〝生きろ。〟でもいいくらい。

主役の俳優2人が「この役はおれにしかできないでしょ!」と言わんばかりにノリノリでやってるのが楽しい。
死体役をやって面白くて、しかもハマってるなんでラドクリフしかいないでしょ。

あと、音楽がものすっっっっっっごく良いです。
『ジュラシック・パーク』のテーマ曲を堂々と使ってるのも笑いましたが、前編ほとんどアカペラっていうか、ポール・ダノとラドクリフの歌声で音楽が構成されていました。
それもまた、この2人の孤独感か連帯感、人間力みたいなものを表現されているように思いました。

四コマ映画→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=1830