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スイス・アーミー・マンの小のレビュー・感想・評価

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
4.1
予告映像を見て、タイトルまんまのスミス・アーミーナイフみたいな死体を利用して無人島から脱出する、くだらないギャグ炸裂しまくりの映画かと思っていた。確かにそうなのだけれど、イケてない青年が一皮むける、実は案外いい話だった。

遭難し無人島に漂着した青年ハンク。絶望し、命を断とうとしたその時、波打ち際に男の死体を発見する。死体にはガスがたまっていて浮力があり、それを利用して脱出することを決意するが…。

この映画のポイントはオナラ。とにかくブーブーオナラが出まくる死体。しかし、はじめはギャグの小道具でしかなったそのオナラが、臆病で殻に閉じこもっていたハンクを解放する重要なアイテムとなるばかりか、終いには死体がスイス・アーミーナイフという荒唐無稽な設定に煙幕を張るような役割を果たす。

死体はいったい何なのかと言えば、ハンクの内面の表出のような気がする。ハンクは自分がやるべきことを死体にやらせることによって、気づき、自省する。そんなハンクにイケてない自分もうっかり共感してしまい「この映画、なんかちょっとうれしい違和感?」みたいな。

好みは分かれるだろうけれど、自分は好き。心配なのが上映する映画館の場所。というのもこの映画を日比谷の映画館で見たのだけれど、以前、近くの有楽町の映画館で、フランスのコメディ『ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走』を、そうとは知らず鑑賞されたオバサマが「なんでここで、こんなくだらない映画を上映するの~ 、お金返して欲しいわ~」とスタッフの方に、ご不満を開陳されていたのを目撃したもので。

でもまあギリギリオッケーかな。あの時のオバサマにご意見をうかがってみたい気もするけど。

●物語(50%×4.0):2.00
・上手い。こんな設定、自分には考えつかない。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフ、死体役が上手過ぎ。ポール・ダノもイケてなくてグッド。

●画、音、音楽(20%×3.5):0.70
・ジェットスキーでつかみはオッケー。
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