ペジオ

スイス・アーミー・マンのペジオのレビュー・感想・評価

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
4.1
お前達 生きてない 死んでないだけ(原始の言葉より)

方々で話題となっていた映画で凄く観たかったのですが、「出オチだったら嫌だな」と不安でもあった
結局その不安は杞憂で、「いろいろと便利な力を持ったド○えもんの助けでボンクラ主人公が成長する話」という馴染み深いお話でとても秀逸
(やっぱり世間的に「変」とされているものは、「道具」立てこそ変わっていてもその実普遍的なものを描いている事が多いと思う)
台風や石ころや恐竜と友達になったコミュ力お化けの「あの彼」も、死体とはまだだったんじゃないか?

健全な社会を形成するために蓋をされてきた「臭いもの」「汚いもの」「気持ち悪いもの」
本来ならそれらは「生きてる証明」でもあるはずなのに
アナタが社会で「生きづらい」と感じているのなら、それはアナタは「生きている」ということなのだから、周りなんて気にすんな!…と全面的に肯定してくれる優しさ
それを「オナラ」や「嘔吐」や「勃起」で教えてくれるとは
やっぱ下ネタって奥が深いわ…

もはや主人公の妄想だったかどうかなんてどうでも良い
考察すんな
立ち止まんな
前だけ見てろ……と背中を押してくれる無闇な前向きさ

十徳ナイフのようにそっと懐に忍ばせておきたい
そんな頼もしさと愛らしさに満ちた映画でした
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