アキラナウェイ

スイス・アーミー・マンのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
4.0
その男、万能につき。

スイスアーミーナイフの如く万能な死体と過ごした男の物語。

もう、オナラブーブーとか超絶お下品な事はこちとら予告編からお見通しなもんだから、お上品な僕は観る気がなかったんですけどね。フィルマのお友達が満点を叩き出したもんでチャレンジ!

オナラ、ゲップ、オッケー、カクゴ、キメタ。

無人島に漂流したハンク(ポール・ダノ)は待てど暮らせど助けが来ない事に絶望し、首を吊って自殺を試みようとしていた。しかし、その時波打ち際に男の死体(ダニエル・ラドクリフ)が流れ着いている事に気付く。

な ん だ こ れ は ! ?

物凄くシュール。

二人称でしか語られないこの物語は、もはや生も死もその境界があやふやに。

死んでいる筈の男が喋り出す。
その名はメニー。

オナラの推進力は水上バイクの如く。
その口からは飲料水。
その歯はハサミの如く、剃刀の如く。
その手刀で切れないものはない。

この映画を観るのなら、理性はロッカールームに預けよう。

当たり前なんてない。
ハンクとメニーのめくるめく奇妙奇天烈な世界観。

ポール・ダノ、ダニエル・ラドクリフのキャスティングがハマり過ぎているし、音楽がまた良い!!
そして、ポール・ダノの女装!!
えっと…可愛いんですけど…?

そしてダニエル・ラドクリフよ…。
どれだけ尻出すんだ。出し過ぎだよ。

このヘンテコストーリーはクセになる。

物語はある終着点に到着しても、響くのはオナラの音。

なんなんだこれは!!
ちょっと感動しかけているこの感情はなんなんだ!!

いやいや、この映画のレビューは無理だわ。
ここに来てお手上げかよと思われるかも知れないけど、生と死の境界をバカバカしさでひょいと乗り越えたこの物語を理路整然と言語化するのは無理がある。

だって死んだ事ないもん!!

畜生!!でも何だか面白いし、変に感動させられたよ!!

ハリー・ポッターのイメージ脱却には大成功したけど、むしろパンチが効きすぎて今後の俳優人生が心配になるよラドクリフ…。

生涯の友は死人でした。
落ち込む事はあるけれど、私は元気です。