こたつむり

パワーレンジャーのこたつむりのレビュー・感想・評価

パワーレンジャー(2017年製作の映画)
3.8
★ クリスピー・クリームの前で君と握手!

いわゆる逆輸入版スーパーヒーロー。
大元となる日曜朝の番組も低年齢層向けですし、本作についても芳しくない評判を耳にしていたので、期待値低目で臨んだのですが…え?けっこう面白いですよ。

これはヒーロー映画の皮をかぶった青春の物語。大人と子供の真ん中の年頃…つまり、足元が不安定な思春期を見事に切り取り、暗いトンネルから抜け出る様を描いた作品なのです。

だから、物語の大半は特訓などに費やします。
確かに我が身を振り返ってみれば、大人になることは簡単ではなく(というか未だに自信がありません)。青春の苦悩を真正面に据えれば、爽快な場面が減るのも当然の話。しかも、心情描写だけは戦隊モノのフォーマットに沿って“淡泊”なのです。

また、アクション映画として考えても。
夜の戦闘場面は状況を把握しづらいし、その他の演出もあっさり気味(戦隊モノ恒例の名乗り場面が無いのはファンからすると微妙なところ)。他のヒーロー映画と比べると物足りなく感じることでしょう。

しかし、それらは本質ではなく。
手を伸ばした先にいる仲間。
そして、自分たちが住む世界を守ること。
それさえ見誤ることなく捉えれば、血が滾る物語に“変身”するのです。

まあ、そんなわけで。
対象年齢が日本とアメリカでは違うからか、中途半端な立ち位置を求められる物語。大人の包容力を発揮しながら、自分の中に棲む“子供心”に寄り添うことが出来れば…楽しめると思います。

僭越ながら僕は大いに楽しめたので、かなり本気で続編を希望しているのですが…巷の評判は悪いので無理なのでしょうかね…。本作は「序章」だったので、次回こそが本番なのですけども。

やはり、ここはプロデューサーに宇都宮さん、脚本は小林康子さん…という黄金コンビを抜擢し、立て直してもらいたいところ。何しろ二人が手掛けた『トッキュウジャー』と『シンケンジャー』は大人が観ても十二分に楽しめる傑作ですからね!
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