ほたる

パターソンのほたるのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.4
“ひとこと言っておくね、食べちゃったんだ。冷蔵庫の中にあったすももを。きっと、君が朝食にとって置いたんだよね。ごめんね。美味しかったんだ。とても甘くて、冷たく”

誰だって映画の主人公になれる。日常のどんな場面でも、詩を生み出すことができる。

月曜日から日曜日までの何気ない日常生活をこんなに愛おしくて、たまらなく美しく見えるなんて思いもしなかった。毎日同じように見えても、毎日は新しい素晴らしい日になる。この映画を観た後、紙とペンを持って、自分の大切なものについての詩を描きたくなる。

コロナ禍の中、この映画を観たらなんだか昔の日常を思い出して、凄く胸がギュッと締めつけられて、切なくなった。ただ大学に行って、友達に「おはよう」と挨拶を交わして、何気ない会話をする日々だった。そんな日常はもう当たり前じゃなくなって、どうしようもなく懐かしくて、もう一度あの日常に戻りたくなる。何気ない日々は本当に自分にとってかけがえのない日々だったんだな....

せっかくなので、自分でも詩を描いてみたので、こっそり置いときます🤫

“歩いた、歩いた
何も見えない、少し肌寒い夜。何もない。目的も手段も希望も見つからない。
光は消えていくのに、あいつだけは消えない。
あの頃、悔しくて泣きながら座ったベンチ。
強くなりたくて、握った鉄の棒。そんな気持ちを作る、当たり前だった、”あたりまえ”の日々。もう戻らないと知った夜。

だから、歩いた、歩いた。”
ほたる

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