このレビューはネタバレを含みます
試写会にて鑑賞。
パターソンという街でバスの運転手をしながら、日々秘密のノートに詩を書き留めるパターソン。
彼の手の届く範囲にあるささやかなものたちへの愛が、切り取られた7日間のなかで優しく、素直に、綴られていく。
彼の詩の温かい響きはまさしくパターソンという人そのもの。
スマートフォンもパソコンも持たないパターソンだけれど、お気に入りの詩集と詩作の時間、穏やかで規則正しい日課と人々との会話、何よりも愛する人、その温もり、それらに囲まれて暮らす彼の日々は過不足なく安定している。
最後の詩からも感じたように、彼は自分に何が必要かきちんとわかっている。そのことがまた胸を打つのだ。
オフビートな間合いにときどきくすくすと笑いながら、目尻には涙が浮かんでいた。
アダム・ドライバーの佇まいや表情、ノートに文字を書くペースに合わせて詩を読み上げる耳に心地よい声、それらがパターソンという人物をさらに魅力的に見せていて、彼あってこその映画になっていると思う。