静かで優しい日常をジム・ジャームッシュが切り取ったらこんな風になるんだ。。
久しぶりの映画館、何を観ようかと思案していた所、信頼のおけるフォロワーさんの満点のレビューがタイムラインに…。
よし、これだ!!
ジム・ジャームッシュ監督作はいっぱいclipしているくせに観るのは今作が初めてかも?
ゆるい感じをイメージしていたら
想像の斜め上をいくゆるさだった…笑
ストーリーは、、あるようでない。
ざっくり言ってしまえば、ちょっとしたアクシデントはあるものの、アダム・ドライバー演じる主人公”パターソン”が過ごす、なんて事のない一週間を追っただけの話だ。
バスの運転の仕事、愛犬マーヴィンの散歩、行きつけのバーのマスターや仲間との会話、妻との仲睦まじいやりとり、その合間に詩を書く…
ほぼ毎日同じ事の繰り返し。
”パターソン”とはニュージャージー州の実在の地名でもあるのだが、本名なのか?定かでないが彼はその呼び名で呼ばれている。
前半はちょっとゆるさに慣れるまで時間がかかり、色々な作品を見慣れてしまうと普通ここらで何かが起こるよねっていう所でも全く特別なことが起こらないので、少し違和感を覚えてしまうほど。。
しかし、そのゆるさに身を委ねたら…
何という心地良さ!
アダム・ドライバーの優しい眼差しに、ああこれが普通なんだなって思えてくる。
バスの運転手ってイライラしている人が多くて、モタモタしているとスローモーな私などたまに怒られたりするのだけど、パターソンが怒るところなんて出てきただろうか?と思うくらい穏やかで知的。
彼の書く詩がまた素敵で、画面に文字が記されていくのが好きだなぁ。。
若い頃、詩を書くのが好きな人の影響で少し真似事で書いていた事がある。今でもそういうレビューを書く人に憧れていたりするので、こういうのは大好き!
妻のローラ役ゴルシフテ・ファラハニは2015年”世界で最も美しい顔100人”の5位に選ばれた美女らしいのだが、どこかオリエンタルな雰囲気と思ったらイラン人だった。今作では美女というよりとってもキュートな妻を好演。インテリアやファッションなどはさすがハイセンスで、見ているだけで楽しい。
このローラがまた毎日アートな楽しいことをやってくれて…飽きない笑
我らが永瀬正敏は少ししか出てこない割に結構、キーパーソン的な存在?
不自然でないそれなりの英語を話しているのだが、何となくそこだけ邦画チックで「あん」な雰囲気を感じてしまったのは私だけだろうか…?
英語圏の人にはどう映ったのだろう?
ウィリアム・C・ウィリアムズ(20世紀のアメリカを代表する詩人)はパターソン(地名)の出身でもあり、劇中のパターソンの会話にも出てくる。
秋の夜長にちょっと読んでみようかな、なんて思ったり。
味わい深い、観終わった後からじわじわくる作品にまたしても出会ってしまった!
追記
久しぶりの渋谷の街は若い人で溢れていた。まだ夏休みだからか、平日なのに結構な混み具合。
”ワンダーウーマン”や”ベイビー・ドライバー” と迷ったけれどそっちにしていたら満席だったかもしれない。それにしても人が多い…。
小さめの映画館は空調が今ひとつなところが多く、そういうことに気を取られてしまうのがたまにキズ。あまりの汗ばむ感じに、夏場はアロマオイルを持ち歩こうかと思ってしまった今日この頃だった。。