日常の楽しみや幸せに目を向け、人を羨んだり恨んだりせずにいたいと思いました。
犬好きなので作品の出来に関係なく評価が高めになっちゃうんですけど、パターソンの飼い犬マーヴィンを演じたイングリッシュ・ブルドッグのネリーちゃんの活躍がなくても良い映画でしたよ。
詩を映画にしたような雰囲気、って言うともうパターソン(アダム・ドライバー)が詩を読んでるのでそのまんまになっちゃうんですけど、でもそんな感じかなぁって。詩そのものが日常の情景や気持ちを表したものなので、ナチュラルな演技がみんなハマってたし。
自画自賛気味の夢見がちな奥さん(寝起きは火曜日がいちばんビューティフル)に対してもすごい優しい。パイは黙って流し込む。
何気ない日常にもいろいろあるよね~って思ってたけど、思い返せばいろいろありすぎて大変そうだなぁとも思いました。濃い1週間です。
パターソンは判を押したような日常を繰り返すけど、周囲は目まぐるしい変化を起こしていて意外とドタバタしてたなぁ。彼のリアクションが薄いから、まぁ日常ってこんなもんよね、とか思いかけたけど、いやいや!じぶんの地味な1週間と比べたら濃厚っスから!って思うのでした。
なにはともあれマーヴィンですよ。鼻がピーピーなっちゃうとことか、上目遣いでジトッと見てくるとことか、バーのマスターのドクと似てるとことか、いろんなとこがかわいいなぁ。
コーギーとかダックスとか、口角が上がりがちな犬種って表情豊かですけど、ブルドッグって基本ムスッてしてる印象。ふてぶてしいように見えるのは顔だけではなく、散歩ルートをじぶんで決めたがったり、休憩もじぶんがしたくなったら。それにパターソンが付き合うのもまたいい感じ。
マーヴィンがコインランドリーのラッパーを見つめてるとこが大好き。なにあの空気感。笑いこらえるの大変でしたわー。ラッパーのコメントがまたタイミングも含めてナイス。
まったくパターソンのやつあんな無防備な状態で放置して、マーヴィンがワンジャックされたらどうするんだよほんと(日本ですら盗まれることあるのに大丈夫なのかな…)。
不思議な空気感は全編にわたってありますが、双子の話をしたらやたらめったら双子が現れたり。あれっていうのは、今まで意識してなかったことが何かきっかけを得たことで気になり始める的なことなのでしょうか。それにしても(あれはなんなんだろう)って思うことが多い。
なんだろうと言えば毎日傾いている郵便受け、あれにはどんなミステリーが…と構えていて、ふと訪れる真相に笑いが起こりました。パターソンはいつ気づくんだろうなぁ…ふふふ。