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パターソンのicのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.0
ただ生活しているだけなのに物語が生まれる瞬間を感じたことは誰にでも経験があるのではないだろうか。でもそれは1日のほんの一瞬ですぐに忘れてしまったりする。意図したように出会うものたちや出来事。自分の中で辻褄が合ってしまう瞬間。そんな忘れてしまうような部分がどんなに素晴らしいものなのか。
目が覚めた時に当たる朝日や起きた時に目の前にある顔、たまたま手にとったもの、何気なく流れる音楽、誰かに作ってもらう料理、きりがないほど当たり前が美しかった。

ジャームッシュの作品の場所と選ばれたパターソン。彼の作品で改めて感じさせられるのはどんな町でどんな人間が生まれ育ってきたかを意識させられる。

相変わらずファッションには惹かれる。家の中が毎日少しずつ変わっていくインテリアはとてもすき。深い緑の壁の部屋に住みたくなったし、ソファの布の掛け方、ノートの表紙とかそういった細かいところまで興味を持って見てしまう。

通りやバスの中、店、いろんな場所で聞こえてくる会話の中にどんなメッセージがこもっているのだろうと探りながら感じながら観ていた。また観たい。
考えさせられることはまだあって映画をみて数時間経つと更に良い作品に感じてくる。
サラリーマンでも精神的にアーティストはいるし、医者でも小説家はいる。もっと言うなら整体師が芸人になったり。簡単に言ったら自称で何が悪いということかもしれない。 稼ぎがどうかということより何者になりたいかということが重要なのかもしれない。

淡々とした映画なようで沢山思うことがある。
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