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パターソンのkouのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.5
《詩のような毎日》
とてもとても美しく整えられた映画を見た。心地よく、それでいて感動的でもある。ジム・ジャームッシュの最新作は彼自身の特徴を大いに活かし、映画全体が詩のように整えられた素晴らしい作品だった。

ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手は街と同じ名前のパターソン(アダム・ドライバー)。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをして始まり、仕事に向かい、仕事をして、夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩をする。そして、バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅し眠りにつく。

そんな毎日が繰り返される。しかし、何気ない日常でも少しずつ違う。同じようでも変わり、そして彼は詩を書くことで日常を彩っていく。何気ない日常でもとても愛おしいのは、彼自身の世界を見る目線にあるのだ。

そしてこの映画のとても素晴らしいのは、その日常が繰り返されるという事実を描いている点だ。それはある人物を通して言われるように、希望でもある。観終わった後、とても愛おしくなるような作品だと思う。自分にとってもとても大切な一作となった。
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