みつ

パターソンのみつのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.5
静かな優しい映画に出会った。

アメリカのニュージャージー州の小さな町パターソンに住むパターソンと言う名の男の月曜日から次の月曜日までの日常を描いた映画。毎朝妻と眠るベッドから起きるところから一日が始まる。

映像の独特の空気感からどこか不穏な感じがするにもかかわらず、大きな事件は何も起こらない。何か起こりそうなのに起こらない。けれども、繰り返す一日一日の一定のリズムが心地よく、飽きることはない。かわり映えのしない日常の中で同じ日など一日もないのだと気づかされる。

どこか儚げな詩が作品に彩りを添える。ただ、その色は、カラーの映像でありながら白と黒で構成されたような無機質な色のイメージ。

何だろう。こんな風な夫婦生活は幸せだろうなぁってほっこりしながらも、出会う人々は個性的。どこか言いようのない歪さも感じる作品だった。
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