ミチ

パターソンのミチのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.4
パターソンに住むパターソンの1週間の物語。


ジム・ジャームッシュ作品を初めて観たのは10代の頃。

当時から好きだった永瀬正敏の作品を追いかけてたどり着いた『ミステリートレイン』だった。

当時の私にとってこの映画は衝撃的で、とてもお洒落で、私の映画の嗜好を方向づけた作品のひとつでもある。

そんなジム・ジャームッシュ作品に再び永瀬正敏が出演した『パターソン』が、地元の映画館にもやってきた。


愛する妻ローラと、愛する犬マーヴィンに囲まれ、平凡ながらも幸せな日々を送る主人公パターソン。

バスの運転手をしながら、空いた時間に詩を綴る。

夜はマーヴィンの散歩に行き、いつものバーで1杯だけ酒を飲む。

「同じことの繰り返し」と吐き捨ててしまいそうな毎日を、ジム・ジャームッシュ監督は丁寧に切り取る。

そこに溢れているのは日常の愛おしさ。愛する人の隣で目覚めることの出来る幸福だ。


映画の中の幸福というのは、その1年後を想像出来ないものが多い。

しかしこの作品に溢れる幸福は、10年後、20年後、そして現実世界と地続きになっている。

だからこそこんなにも愛おしいと感じられるのだろう。


私たちの毎日は、同じことの繰り返しだ。

しかしその隙間には、二度と繰り返せないたくさんの出来事が詰まっている。

私はそんな出来事をどれだけ拾えるだろう。

そして、自分の糧に出来るだろう。