ニュージャージー州パターソン市のバス運転手で詩人のパターソン(アダム・ドライバー)と美しくてキュートな妻ローラ、(ゴルシフテ・ファラハニ)そして愛犬マーヴィンの何気ない1週間の生活を描いたストーリーである。
パターソンの朝は腕時計で時間を確認して、横で寝ている妻への優しいキスから始まる。目覚めた妻は見たばかりの夢をつぶやく。2人の1日が始まるのだ…。何と静かでゆったりとした朝だろう。こんな朝の起きかた、羨ましく感じた…。
バスの運転手を勤めた後は妻と夕食を食べマーヴィンの散歩に行き、バーで一杯のビールを飲んで帰るのがパターソンの日課である。パターソンは詩人で、日常の身の回りにあるもの、日々の生活で起きたことから感じたことを秘密のノートブックに詩で綴り自らに語りかける。
現代の日常生活の慌ただしさやスマホにかじり付いている多くの人と比べると、パターソンは物静かな生活を送りスマホさえ持たない。ITツールが活用され、スピードが最優先される現代のビジネス社会。一方、パターソンの生活パターンは判で押したように同じ日々である。しかし、日常生活で知り合えた人々との交流、自然の中で感じたこと、同じようで少し違う日々、それら全てが詩の語りに繋がっているのだ。日常生活の中で詩を思い描くことはなくても、自然の移り変わりや鳥たちの鳴き声等を感じて想いを馳せる心のゆとりをもつことの大切さを教えられた気がした。
ローラ役のゴルシフテ・ファラハニはイラン人女優で2017年世界で最も美しい女性第9位に選ばれている。笑顔のとても素敵な美しい女性で、今後の作品に期待したい。
